治療方針
血液透析をしている患者さんの二大問題は癌と血管石灰症です。現代社会ではこの二つを克服することが長寿につながります。
●癌は定期的なCTやエコーによる検査で早期発見ができます。
●全身の血管石灰症は腎臓が悪くなって起こる病態です。腎臓が悪くなるとビタミンDの活性化ができなくなります。その結果、小腸からカルシウムの吸収ができなくなります。
血液中のカルシウムが低下すると副甲状腺ホルモン(PTH)が出動して骨を溶かし、カルシウムとリンを血中に動員します。
骨はスカスカになる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)となり、骨折を起こしやすくなります。腎臓が悪い人は、咳をしただけで肋骨骨折を起こしたり、少しの転倒で骨折を起こすことが知られていました。
このメカニズムが福本政治によるリン利尿因子(FGF23)の発見とそれによる腎尿細管での1α-Hydroxylaseの抑制による活性型ビタミンD3の形成障害によるカルシウム吸収障害→低カルシウム血症→二次性副甲状腺機能亢進症→骨粗鬆症→易骨折の全貌が解明されました。その後、カルシウム受容体感受性増強剤が創薬され、副甲状腺手術をすることなく、薬理学的副甲状腺ホルモン抑制が可能になり、血管石灰症を克服できる時代になりました。
北部山里クリニックでは、定期検査で副甲状腺ホルモンを適正範囲に納め、血管石灰症を抑えます。